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幻の漂泊民・サンカ (文春文庫) 文庫 – 2004/11

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幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

あらすじ

一所不住、一畝不耕。山野河川で天幕暮し。竹細工や川魚漁を生業とし、’60年代に列島から姿を消した自由の民・サンカ。「定住・所有」の枠を軽々と超えた彼らは、原日本人の末裔なのか。中世から続く漂泊民なのか。従来の虚構を解体し、聖と賎、浄と穢から「日本文化」の基層を見据える沖浦民俗学の新たな成果。

目次

序章 サンカとは何者だったのか
第1章 近世末・明治初期のサンカ資料を探る
第2章 柳田国男のサンカ民俗誌
第3章 サンカの起源論をめぐって
第4章 サンカの原義は「山家」だった
第5章 発生期は近世末の危機の時代か
第6章 三角寛『サンカ社会の研究』を読み解く
第7章 今日まで残ったサンカ民俗をたずねる

書籍情報

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

沖浦 和光 (著)
文庫: 392ページ
出版社: 文藝春秋 (2004/11)
ISBN-10: 4167679264
ISBN-13: 978-4167679262
発売日: 2004/11
商品パッケージの寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

沖浦/和光
1927年、大阪生まれ。東京大学文学部卒。桃山学院大学名誉教授。比較文化論、社会思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

レビュー

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関連情報

サンカ (集団名)

サンカは、日本の山地や里周辺部で過去に見られたとされる不特定の人々を指す言葉である。その指し示す範囲は広く、回遊職能民であったり特殊な窃盗団など、時代や立場によって定義や趣旨も大きく変わり、語義を明確にすることは難しい。

名称

不特定の人びとの総称として用いられることが多く、様々な漢字が存在する。

山窩」、「山家」、「三家」、「散家」、「傘下」、「燦下」(住む家屋を持たず傘や空を屋根とする屋外に住む存在という意味)などと表記される。「ポン」、「カメツリ」、「ミナオシ(箕直)」、「ミツクリ(箕作)」、「テンバ(転場)」など、地方によって呼ばれ方も違う。(それぞれの呼称は、「ホイト(陪堂)」、「カンジン(勧進)」など、特定の芸能を指す言葉と併用されることも多い。)

サンカの実態調査を試みた立場による呼び名の違いもある。

行政系的なカテゴリー
住居を定めない浮浪漂泊者、野非人の群れの1つに「サンカ」、「山カ」、「さんか」等と記述されていた。
警察系的なカテゴリー
例外なく「山窩」とされている。独自な犯行手口を用いる犯罪専科の単位集団として規定されていた。
民俗・史学系的なカテゴリー
警察型「山窩」と混同することなく、明確に一線を画して農民型「サンカ」としている。
営林系的なカテゴリー
国有林、公有林などの保全維持業務の一環として、盗伐を防ぐため調査し「サンカ」「山窩」と表記、呼称していた。

生活形態

定住することなく仕事を求め村々を移動する。定住ではないため拠点(天幕、急ごしらえの小屋、自然の洞窟、古代の墳遺跡、寺等の軒先など)を回遊し生活しており、人別帳や戸籍に登録されないことも珍しくなかった人々であったとされている。

サンカは明治期には全国で約20万人、昭和に入っても終戦直後に約1万人ほどいたと推定されているが、実際にはサンカの人口が正確に調べられたことはなく、以上の数値は推計に過ぎない。

生業

地域によって異なり、「ポン」と呼ばれるサンカは川漁、副業的な位置として竹細工などをしていた。

また「ミナオシ」、「テンバ」と呼ばれるサンカは箕、かたわらささら、箒の製造、行商、修繕を主な収入源としていたとされる。

関連書籍

日本民衆文化の原郷―被差別部落の民俗と芸能 (文春文庫) 文庫 – 2006/2

沖浦 和光 (著)

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日本文化の深層を探ると―。能・歌舞伎・人形浄瑠璃から各種の工芸にいたるまで賎視された人々が、その基底を支えてきた。紀州湯浅の門付け芸・春駒。巡業三百年、鳥取円通寺のデコ舞わし。日本有数の歴史を誇る三次の鵜飼。民俗技芸の起源をたどり、苛烈な差別をはねのけ力強く生き抜く民の実像を伝える。
ISBN-10: 4167679752

サンカの民と被差別の世界 (五木寛之 こころの新書) 新書 – 2005/10/26

五木 寛之 (著)

あらすじ

消えゆく記憶と、消してはいけない歴史

語られることのない、日本の歴史の深層を真摯に探訪する。
かつてこの列島には、土地に定住することなく、国家に帰属することもなく自分の身分証明をした人びとがいた。海の漂泊民「家船」と山の漂泊民「サンカ」である。そして関東には、江戸・東京を中心とした被差別の世界があり、社会の底辺に位置づけられた人びとがたくましく生きた。賤民を束ねたのが浅草弾左衛門、非人頭は車善七だ。<著者のことば>
私は、隠された歴史のひだを見なければ、“日本人のこころ”を考えたことにはならないと思っています。今回は「家船」漁民という海の漂泊民から「サンカ」という山の漂泊民へ、そして、日本人とは何かという問題にまで踏みこむことになりました。それは、これまでに体験したことのなかった新しいことを知り、自分自身も興奮させられた旅でした。
ISBN-10: 406212937X

風の王国 (新潮文庫) 文庫 – 1987/4/28

五木 寛之 (著)

あらすじ

闇にねむる仁徳陵へ密やかに寄りつどう異形の遍路たち。そして、霧にけむる二上山をはやてのように駆けぬける謎の女…。脈々と世を忍びつづけた風の一族は、何ゆえに姿を現したのか?メルセデス300GDを駆って、出生にまつわる謎を追う速見卓の前に、暴かれていく現代国家の暗部。彼が行く手に視るものは異族の幻影か、禁断の神話か…。現代の語り部が放つ戦慄のロマン。
ISBN-10: 4101147213

山窩奇談 (河出文庫) 文庫 – 2014/2/6

三角 寛 (著)

あらすじ

箕作り、箕直しなどを生業とし、セブリと呼ばれる天幕生活を営み、移動暮らしを送ったサンカ。その生態を聞き取った元新聞記者、研究者のサンカ実録。三角寛作品の初めての文庫化。一級の事件小説。
ISBN-10: 4309412785

山窩は生きている (河出文庫) 文庫 – 2014/7/8

三角 寛 (著)

あらすじ

敗戦から五年、NHKのアナウンサーらを埼玉県の瀬降りに案内した記録の表題作、三角が初めて箕作りの民に直接取材した記念すべき体験談のほか、警察・刑事からも聴き取りを行った、『遠野物語』を想起させるような各地の奇譚、そして山窩の隠語、ことば集も収録する、サンカ研究の第一人者・三角寛ワールドの決定版。
ISBN-10: 4309413064

さいごに

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